今回レビューするのはセガサターンと言えば名前の挙がるこのソフト「エネミー・ゼロ」です。
エネミー・ゼロと言えば、鳴り物入りで発売され、発売後も賛否両論で話題の絶えなかったソフト。
セガサターンとプレイステーションの次世代機戦争の象徴とも言える一本でした。
エネミー・ゼロと言えば……
当時「Dの食卓」で話題を集めていた飯野賢治氏。
その飯野賢治氏が、元々はプレイステーション向けのソフトとして開発していました。
ところが1996年の春、プレイステーションEXPO という「プレイステーションのイベント」の壇上で突然セガサターンへ発売プラットフォームの鞍替えを発表。
この時のプレイステーションのロゴがセガサターンのロゴにモーフィングする演出が大きな話題を呼びました。
後のインタビューでは、Dの食卓の販売方針をめぐるソニーとのビジネス上の衝突が移行の主な理由として語られています。
ソフトの発売前からサターン系雑誌にインタビュー記事が度々載っており、サターンユーザーを持ち上げる発言を自己暗示のごとく繰り返していました。
それに煽られてプレイステーションを目の敵にするサターンユーザー(私のこと)も生まれていました(笑)
今となっては、売るべきものがまだ存在しない状態でも売り物をプロモーションする手法だったのかなと思います。
エネミー・ゼロってこんなゲーム
宇宙船内で姿の見えない敵(エネミー)に対して音を頼りに立ち向かっていくアドベンチャー/FPSです。
ゲームはプリレンダリングされた室内を探索するアドベンチャーパートと、一人称視点でエネミーと対峙するリアルタイムパートで構成されています。
アドベンチャーパートで手に入れたヒントを手がかりに、リアルタイムパートの方では銃を使ってエネミーと戦いながら、ゲームを進めていきます。
このゲームの最大の特徴となるのが姿の見えないエネミーの存在とそれに対する対抗策です。
主人公である「ローラ」はゲーム開始地点である自分の部屋で、エネミーの接近を音で探知できる「VPS」というアイテムを見つけます。
これによって音の高さと間隔で敵の位置をある程度把握できます。
付近にエネミーがいる場合は「ピン、ピン、ピン・・・」と音がなり、前方にいる場合は高い音、後方は低い音、左右ならその間の高さ。
さらに距離が近いほど音が鳴る間隔は短くなります。
この VPS の音を頼りにエネミーと戦います。
ディスク0には「トレーニングモード」が収録されていて、最初は敵が見える状態から、見えない状態、複数の敵といった形で段階的に本編開始前に練習できます。
挫折した人も多いのでは? 賛否両論の高難易度
エネミー・ゼロは何と言っても難易度が高い。
アドベンチャーパートにおけるフラグ立ても難しいですが、こちらはまだゲーム内を丁寧に観察していればヒントを得られます。
問題はそこではありません。
まず姿が見えないエネミーを撃つという行為自体が難しいです。
それに加えて武器となる銃の扱いも難しい。
銃の射程はナイフのごとく短いので、エネミーをギリギリまで引きつけてから発砲しなければ倒せません。
前に進むときとは違い、後ろに下がるときは一歩ずつしか下がれないため、もしエネミーを撃ちもらしてしまったら態勢の立て直しも容易ではありません。
弾数も少なく、数回失敗したら一度撤退することを余儀なくされます。
さらに特徴的なシステムとして、セーブ・ロードの回数や場所が制限されています。
セーブする際はボイスレコーダーに声を吹き込むことで進行状況を記録するという体になっていて、使う度に電池が消耗。
セーブ(REC)とロード(PLAY)を繰り返すうちにバッテリーが減っていき、なくなってしまえばセーブはおろかロードもできなくなってしまいます。
また、ボイスレコーダーが使える場面はアドベンチャーパートに限られています。
序盤は気にしなくても問題ないですが、後半になってくるとリアルタイムパートが連続していて、エネミーを1体倒すごとにマメにセーブするといったことができません。
これではいくら電池を残していても関係なくなってしまいます。
この難易度の高さには当時も賛否両論でした。
ゲームの見どころ
ストーリーについてはインタビュー記事で「デジタルな哀しみ」がテーマだと語られていましたが、私には少し陳腐に感じられました。
特にプレイヤーの驚きの種となる部分が映画「エイリアン」と同じだったために批判がありました。
ただ、このゲームの本質はそこではありません。
ストーリーを陳腐だと感じながらも、主人公ローラへの感情移入度はかなり高いものがありました。
それは緊張感によるものでしょう。
BGMのない船内も、限られたセーブとロードの回数も、扱いにくい銃も、全てがこの緊張感を高めるために作用しています。
昨今のFPSゲームではグラフィックが綺麗になり、サウンドも立体音響で没入感の高いソフトが多いですが、この緊張感は他のソフトではなかなかない。
こればかりはやってみなければ体感できません。
私自身は当時ノーマルモードでクリアできず、今回サタコレ版に収録されている「スペシャルイージーモード」でクリアしました。
これからプレイされる方もぜひ最初はノーマルモードで挑戦してもらいたいです。
緊張感が段違いです。
スペシャルイージーモードではセーブ・ロードの回数が無制限になったり、銃の弾数が多かったり、エネミーの数がノーマルモードに比べて少なくなっていたりとかなり簡単になっています。
一度挫折した方はこちらをお試しください。
そして隠れた見どころと思っているのがディスク0に収録されているスタッフ紹介のムービー。
これがカッコよくて大好きです。
喫煙者の多さに時代を感じます(笑)
攻略の際はぜひこちらを参考にしてください。
ボイスレコーダーのセリフをまとめてみました。
プレイ日記はこちらでまとめています。