新しいアップスキャンコンバーター「RetroTINK-5X Pro」を購入したのでご紹介します。
レトロゲーム機などのアナログ入力をデジタルのHDMI出力に変換してくれる製品です。
私の場合、これまでは同種の製品である「フレームマイスター」を使用していましたが、評判が良いので試してみました。
良いところ
解像度変更に強い
これまでフレームマイスターを使用していましたが、解像度変更のたびに信号を見失い、フレームマイスターから接続しているキャプチャ機器の「GV-HDREC」ではその度に録画が停止してストレスになっていました。
RetroTINK-5X Pro では解像度変更に強く、GV-HDREC の方でも録画が途切れません(TripleBufferモード設定時)。
私にとってはこれだけでも買う価値がありました。
(低遅延を謳う FrameLock モードに設定しているとフレームマイスターとあまり変わらないです)
切り替え時も途切れない参考動画です。
電源が microUSB
フレームマイスターはACアダプタでしたがこちらは汎用的な microUSB。
地味なところですが嬉しいポイントです。
欲を言えば microUSB ではなくて USB Type-C だったらもっと良かったですが。
画質が綺麗
水平サンプリング(H.Sampling)方法の設定に各ゲーム機用のプリセットが用意されています。
セガサターンはメガドライブとまとめられている Gen/Saturn 320(横320解像度のゲーム用)と Saturn 352(横352解像度のゲーム用)の2種類あります。
Interpolation を Sharp に設定して、H.Sampling を上記のサターンプリセット設定にするとフレームマイスターよりも画質がシャープになったように感じます。
Lowpass Filter が OFF だと単色のところにややノイズ感が出ますが、Medium に設定すればそれほど画質は損なわずノイズもなくなります。
ただ、サターンプリセット設定には後述する問題があり、現在は「Generic 4:3」設定を使用して運用しています。
それでもフレームマイスターより劣るとは感じません。
上がフレームマイスター、下が RetroTINK です。
若干 RetroTINK 側にノイズが乗っているように見えるのは変換ケーブルの影響かもしれません。
RetroTINK は 1080p(FILL)に設定しているので、アスペクト比をブラウン管での画像に近い形に補正してくれているようです。
インターレース解除も綺麗
セガサターンには高解像度モードと呼ばれる、インターレース方式の画面表示モードがあります。
バーチャファイター2、AZELパンツァードラグーンのタイトル画面、グランディア デジタルミュージアムの資料画面などを想像してください。
ブラウン管のテレビで見ると画面がギラギラします。
これがプログレッシブ方式に変換されて出力されるわけですが、この際の画質です。
フレームマイスターでは静止画で見るとブレがあったりするのですが、こちらも RetroTINK の方が断然綺麗です。
Deinterlacer は MotionAdaptive に設定(デフォルトのまま)しています。
上がフレームマイスター、下が RetroTINK です。
RetroTINK の方がかなり綺麗です。表示していても揺れ(ちらつき)がないです。
灰色の部分の色味が緑っぽくなっているのが気になりますが……。
遅延が少ない(らしい)
遅延が少ないらしいです。
「らしい」と書いたのは、私はあまり違いを感じなかったからです(笑)
ラグ測定している動画などを見ると少ないのは間違いないらしいのですが、私の場合フレームマイスターも特に遅延など感じずに使っていましたので違いがわかりませんでした。
逆に言えばここもフレームマイスターより劣るということはなさそうです(遅延が大きいとされるTripleBufferモードでも)。
レトロフリークや安物のアプコンだと遅延を感じるので、私自身が全くの鈍感というわけでもないとは思うんですけどね(笑)
注意点
入力が SCART & コンポーネント
ゲーム機からの入力が SCART とコンポーネント端子になっています(S-Video やコンポジットも入力できます)。
SCART 端子は形状こそ日本の RGB21 ピンと同じですがアサインが違うので互換性がありません。
これまで RGB21 ピンのケーブルで接続していた方は別途変換ケーブルを用意しなくてはなりません。
私は Amazon で注文した下記のものを使用しています。
【SRPJオリジナル】RGB変換アダプター (RGB21 to SCART/NTSC to PAL) ケーブル長 50cm [SRPJ1155]
専用プリセットの挙動がおかしい
使用していて気付いたのですが、H.Sampling にサターン専用のプリセット(Gen/Sat 320, Saturn 352)を使用していると、画面に表示物が現れたりしたタイミングで画面が少しボケたりシャープになったり変化するという挙動が見られました。
ファームウェアのバージョンは 1.84 です。
到着してすぐに今のバージョンに上げてしまったので、以前のバージョンではどうだったのかは確認できませんでした。
後々のバージョンアップで改善されることを期待したいです。
v2.39
2021/12/21 に新しいファームウェア(v2.39)がリリースされましたので確認してみました。
シャイニング・フォース3 では先の現象は直っているように見えます。
まだ他のゲームでは試していないので、色々遊んでみて確認したいと思います。
v2.71
v2.71 にて Phase Detect => Auto、ADC Samp./Line 1708 に設定することで
改善しました。
また、上記の設定では引き続き問題が出ていたシャイニング・フォース3でも
Phase Detect => 1 of 4、ADC Samp./Line 1710 にすることで
問題を回避できることが確認できました。
いずれの設定を使うのか確認するのは手間ですが、一度確認できれば Gen/Sat 320 のプリセットを活用できそうです。
FrameLock モードは GV-HDREC と相性が悪い
遅延が少ないとされる FrameLock モードですが、GV-HDREC を通して出力している場合にこのモードにしてしまうと何も映らなくなってしまいます。
モニタに直接つないだ場合は FrameLock モードにしても平気なので、相性が悪いのだと思います。
ファームウェアの更新に WindowsPC が必要
ファームウェアの更新は SD カード経由等ではなく、専用のツールを用いて行う形式になっています。
このツールが Windows 用のものなので、ファームウェアの更新にはパソコンが必要です。
パソコンがない、Mac しか使ってない、という方もいると思うのでここは注意が必要です。
ファームウェアアップデートのページ
リモコンは付属している
リモコンは付属していますので別途買う必要はありません。
また購入時に「YES/NO」を選択できる「SCART to composite adapter」は SCART ポートを2つめのコンポジット入力として使う場合のもののようなので、単にコンポジットからも入力したいというだけの場合は必要なさそうです。
(コンポジットとつなぐ場合は Y(緑), L(白), R(赤) の差込口に挿せばOK)
入手方法
こちらのサイトで販売されています。
現在は売り切れのようです。
「Notify When Available」ボタンを押してメールアドレスを登録しておくと入荷のお知らせを通知してくれるので、気になる方は設定しておくと良いと思います。
ただ、実際に買えるようになったあとでお知らせが来たので、心配な方は twitter をチェックしておいた方が安心です。
私の場合、再入荷の直後に注文して、3営業日後には出荷されました。
価格
価格は 300 ドル、送料が 55 ドル、輸入関税/消費税が 2800 円で、合計で 44994 円(購入時のレートで)でした。
フレームマイスターは定価(税抜)が 38800 円なので、それと比較しても高くはないです。
支払い
支払いは Paypal でしました。
海外通販で使用するために Paypal を登録する際は、名前と住所を英語で設定しておくとよいです。
Paypal ログイン後に住所や名前が自動設定されて注文時の入力が楽できます(入力欄に自動入力されるだけで変更可能)
私は Paypal 日本上陸時にアカウント作ったため、すべて日本語になっていました。
住所は設定で言語を英語にして住所を追加、メインに設定すればあとから英語住所の登録が行なえますが、名前は変更できず。
カスタマーサービスに連絡して名前を英語名に変えてもらいました(免許証の写真などをアップロードする必要がありました)。
Paypal で支払うとその名前、住所で注文が行われると思っていたのですが、入力欄に入るだけで変更できるので、日本語のままでも大丈夫だったかもしれないです(笑)
海外通販で使用する場合はあらかじめ英語で登録しておくのが良いです。
設定
最後に私が現状運用している設定です
項目 | 設定 | 備考 |
---|---|---|
Input | SCART RGB | RGB21(JP21) から SCART へ変換 |
Output Res | 1080p(FILL) | |
H.Sampling | Generic 4:3 | 画質は Gen/Sat 320やSaturn 352 の方が良いですが…… |
Interpolation | Sharp | 3Dゲームが主体なら Soft でも良いかも |
Scanline | OFF | |
Deinterlacer | Motion Adaptive | これが一番綺麗でした |
Y/C Filter | 4-Line COMB | |
Colorspace | RGB Limited | こちらの方が明るく表示されるので |
Video LPF | Medium | Medium 未満だとノイズが目立ち、Strong だと鮮明さが失われるので |
L-Gun Border | Off | |
240p Downscale | Off | |
Vertical Sync | Triple Buffer | |
Pre-emph. Filter | 0 |
感想
いくつか注意点はありますが、高画質で解像度変化時に途切れないのがとにかく素晴らしいです。
値段は張りますがレトロゲーム全般に使用できますので、サターンに限らずレトロゲームで遊ぶ方は持っていて損はないと思います。
特に現時点でフレームマイスターを使っていない方は、フレームマイスターはすでに終売になっているのでこちらがおすすめです。
手軽さでは下記のような HDMI 変換ケーブルにはかないませんが、複数のゲーム機で遊んだり、より高画質で遊びたい方はぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
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