基本情報
仙窟活龍大戦カオスシード 発売元:ネバーランドカンパニー 発売日:1998年1月29日 定価:6800円 ディスク数:1枚(初回限定版はおまけCD+1枚)
サタコレ版 発売日:1998年12月10日 定価:2800円 推定販売本数:19963本 サタマガ読者投票最終平均点:9.4424
発売した当時のこと

セガサターンの後期に発売されたこのゲーム。前年の末からはじまった「せがた三四郎」の CM でセガサターンの認知度は上がっていたものの、それでも売上にはそれほど結びつかないくらい、セガサターンの市場は終息へと向かっていた時期でした。 1週間前の1/22には期待のサードパーティ「チュンソフト」から話題性のある作品「街」が発売されており、また同日の1/29にはセガ期待のRPG「AZEL パンツァードラグーンRPG」が発売されている、この辺の巡り合わせもあってか売上は奮っていません。 売上が良くなかった理由として思い当たるところは他にもありますが、それは後ほど。
中華風の世界観


まずこのゲームの特徴は珍しい中華風の世界観。 舞台となる街は「洞天福」、ライバルとなるキャラクターたちの名前も「王蒼幻」「公明紅」など中華風。 ただ、それだけでなく「アレックス・ホルス」「シャスタ・ホルス」や「伊邪那岐」など西洋風や和風のキャラクターも登場するところも本作の魅力のひとつです。 音楽も中華風テイストを感じさせる楽曲が多くなっています。曲だけでなく「サウンド」も良い環境で聞きたいと思わせる音になっていて、サウンドの良さはセガサターンのソフトの中でもベスト10に入ると思います。
緻密なドット絵

当時の自分がなぜこのゲームを購入するに至ったかというと、それはグラフィックです。 緻密なドットで描かれた世界に引き込まれ、セガサターンの能力を十分に発揮したド派手なエフェクトも目を引きます。 16bit時代を代表する2Dゲームのグラフィックといえばファイナルファンタジー6が思い浮かびますが、このカオスシードは32bit時代の2Dゲームの最高峰といっても良いと思います。
ダンジョン育成シミュレーション?
ジャンルの融合

内容の方は、このゲームをひとことで言い表すのは難しいです。それはこのゲームの帯に記載されているゲームジャンルにも表れています。「ダンジョン育成シミュレーション」それがこのゲームに与えられているジャンル名。 「育成シミュレーション」と言ってもコマンドひとつでパラメータが上下し、ひとしきり命令を終えた後はただ成長していくのを眺め、トラブルがあった時はそれに応じたコマンドで対処する……と言ったゲームではありません。 ゲームのベースとなっているのは2D見下ろし型のアクションRPG。主人公が体力を持ち、ボタンを押せば攻撃をする。そのアクション性を持ったゲームの中で、ダンジョン(ゲーム内では仙窟という)を育成していくのです。
ダンジョン構築

ダンジョンの育成とはどういうことかというと、このゲームではダンジョンに穴を掘り部屋を作り、そこへ部屋を活動させるためのエネルギーと成長させるための仙丹を運び、部屋をパワーアップさせていきます。 部屋にはエネルギーを生産する生産部屋や仙丹を生産する練丹部屋、仙獣を召喚する召喚部屋など部屋ごとに役割があり、バランスよく仙窟を作っていくこと重要です。 またもう一つ重要な要素が風水。このゲームを特徴づけるこのシステムは、部屋同士のつながりによって、どの種類の気がどれだけの気が流れ込むかが変わり、部屋に付けられる機能が変わってきます。 この風水をうまく使いこなすことがゲーム攻略のカギとなります。
個性的な仙獣たち

召喚部屋で呼び出せる仙獣は干支をモチーフとしたキャラクターたち。呼び出し時には好きに名前を付けることもできます(プリセットされた中から選ぶこともできる)。 仙獣たちはそれぞれエネルギーの運搬を得意とするもの、仙丹の運搬を得意とするもの、戦闘を得意とするもの、部屋の修復を得意とするものなど得意分野があり、パーティを組ませて仙窟内を巡回させます。 仙窟の維持、成長のためには効率よく巡回できる組み合わせ、ルートを設定しなければなりません。また、敵キャラクターが侵入してきますのでその撃退や出入り口を壊すためのパトロールも考える必要があります。
RPGのエッセンス

こういった仙窟の運営をしながらも、操作の基本はアクションRPGなのです。 仙窟を移動中に侵入者と鉢合わせれば戦闘となり、戦闘に勝てば経験値が入りレベルアップもします。主人公は洞仙なのでレベルアップすると仙術も覚えていきます。 また、敵や敵の出入り口を破壊すると宝箱が手に入ることもあり、消費アイテムはもとより、主人公や仙獣たちが装備できる武器や防具が手に入ることもあります。 ここが一般的に「シミュレーションゲーム」といわれているゲームと大きく違うところです。
シナリオ、マルチエンディング

また、このゲームはシミュレーションゲームといっても RPG のようなシナリオになっています。 各シナリオは独立していて、それぞれがマルチエンディングとなっています(エンディングが1つしかないシナリオもあります)。

仙窟の状況によってシナリオが進行し、他のキャラクターとの会話や主人公の行動によってシナリオは分岐していきます。
全体としてはシナリオ2の最後で「ある出来事」によって平行世界へ飛ばされてしまった主人公(の分身たち)がそれぞれの平行世界で元の世界へと戻るべく奮闘します。 このシナリオの構成もまた、ゲームとしては珍しいもので(単純なRPGでは表現しにくいものでしょう)、このゲームを一層引き立てます。 シミュレーションとアクションとRPGをかけ合わせた複雑なゲーム性ながら見事に融合してひとつのゲームとしてきっちりとまとまっているのがこのゲームの一番すごいところです。
充実したチュートリアル

さて、ここまで読んでどんなゲームなのか想像できた方はいるでしょうか? おそらくいないと思います(笑)。 ゲーム内ではわかりずらいことを意識してか、最初のシナリオでは丁寧なレクチャーがあり、ゲーム中もオンラインヘルプでわからないところは逐一確認することができます。 しかもこのオンラインヘルプは動画を使って説明がされていて、実際のゲーム画面での操作を見ながら説明を受けことができます。説明も機械的なものではなく、ゲーム中のキャラクターがボイスで掛け合いしながら説明してくれるのでとてもわかりやすいです。 今の時代でもここまで親切なゲームはそうそうないでしょう。
実際にプレイしてみないと伝わらない面白さ

そしてその複雑さがゲーム雑誌の誌面にも表れてしまっていました。 画面の写真を見ただけではよくわからない上に説明は世界観が中華風なこともあり漢字だらけ。 手元に当時のゲーム雑誌がありますが、ゲーム内容を知っている今でも、パッとみただけではよくわかならいし、細かいところまで深く記事を読んでみようという気が起きない(笑)。 売上が振るわなかった理由は間違いなくここにあると思います。
最後に

私がこのゲームのクリア(エンディング到達率100%)までに要した時間は約54時間。 複雑で人を選ぶゲームには違いないですが、セガサターンを代表する傑作のひとつ。 ゲーム好きを自称する人にはぜひ一度触れてほしいゲームです。
最後に、下記の動画「シシララTV」でカオスシードの開発者の方を交えて当時のことなどを話しつつゲームをプレイされています。ゲームスタートから序盤をプレイしているのでどんなゲームかもよくわかると思います。