「輝水晶伝説アスタル」はセガサターンの黎明期、25本目にセガから発売されたアクションゲームです。
低年齢層向けアクションゲーム

オープニングムービー
童話のような設定に等身の低いキャラクターで、低年齢層をターゲットにしていることがわかります。 久川綾さんの歌うテーマソング「Let me try again」も90年代前半のアニメを感じさせるノリでなかなか良い曲です。 CD「セガサターンヒストリー-~サターンが青春だった~-上巻」にも収録されています。

サターンFAN 1995年5月号
セガサターンとプレイステーションは発売当初はその価格の高さから大学生以上の比較的年齢の高い層のユーザーを中心に拡がって行きました。 さらなる普及に向けて低年齢層向けのソフトも用意しておきたいというプラットフォーマーとしての意向があったのでしょう。 同時期に発売されたソフトとしてはデイトナUSAやヴァーチャルハイドライドなどが挙げられます。
意外に複雑な操作

ステージ1
基本は横スクロールのジャンプアクション。 攻撃方法にはいくつかのバリエーションがあります。 まず敵の近くで攻撃ボタンを押すと「ポイ投げ攻撃」で相手を投げられます。この攻撃がメインの攻撃方法です。
また、ジャンプで敵を踏みつけたり、ジャンプ中に攻撃ボタンを押して空中アタックも可能です。 他にも地面を叩くことによって攻撃したり、大きく吸い込んだ息を吐き出す「ブレス攻撃」があります。 地面叩きとブレス攻撃、踏みつけは敵の動きを止めるだけで、倒すことはできません。
このバリエーションの多さと、敵を倒せたり倒せなかったりすることにより、操作はやや複雑に感じます。

「!」マーク時は特殊アクションが発動可能
もうひとつ複雑に感じさせる要素として、2人プレイ時に2P側が操作する鳥の存在があります。 1人でプレイする場合には、この鳥にも指示を出すことができます。
アイコンの切り替えで指示を与えることもできますが、X、Y、Zボタンでそれぞれのアイコンに対応した行動をワンボタンで実行も可能。 ワンボタン操作は慣れれば便利かもしれませんが、これもまた操作が複雑に感じる一因です。
低年齢向けでありながら操作が複雑でややチグハグなところには、セガらしさを感じてしまいます(笑)
見どころ

ステージ間デモ
ステージの構成はアクションステージが2面続き、そのあとにボス面が入るという形。 アクションステージは1面のところもあります。 ボス戦のあとにはちょっとしたデモがあり、ストーリーが展開します。 全16ステージ(ボス面含む)となっていて、セガサターンの特徴を見せつけるような演出やギミックが用意されています。
私の気に入ったステージをいくつかご紹介します。
水晶宮

水晶宮
「水晶宮」ステージ。 普段はキャラクタが大きく表示されていますが、画面がぐっと引いて遠くまで見えるようになります。 また、足場が傾いて横に倒れていくギミックがあったりにぎやか。
宿命の対決

宿命の対決
「宿命の対決」ステージ。 アスタルのライバル「ガイスト」と対決するステージ。 雲が奥から手前にスクロールして流れていく演出です。
砂塵の大地

砂塵の大地
「砂塵の大地」ステージ。 大型のモンスターの足元をくぐり抜けていくステージです。 身体の一部しか見えない巨大なモンスターで迫力があります。
持ち上げ

大きな木も持ち上げられる
「持ち上げ」。 大きいオブジェクトを持ち上げることができます。 こちらはステージではありませんが、これもスプライトの大きさに制限がなくなったサターンの特徴を活かしたシステムではではないでしょうか。
イマイチなところ等

ボスの「長角獣」
また、主人公が重い独特の動きで操作がやや難しいですが、難易度はそれほど高くありません。 しかしながら、ボスステージにおいてはどうやったらダメージが与えられるのかわからないシーンが多くありました。 また、ボスの無敵時間がわかりづらいアニメーションになっていて、やられたときの納得感にやや欠けます。 コンティニューは無制限なので、時間をかければクリアすることは出来ます。 クリアまでのプレイ時間は3時間ほどでした。
総評

創造神アントワースとアスタル、レダ
随所にサターンの特徴を活かした仕掛けが用意されているものの数がそれほど多くなく、爽快感を感じさせるような操作でもないのが残念です。 磨けば光そうなゲームなので、続編や似たタイプのゲームがもっと出てほしかったなと思いました。 サタマガの読者投票では 7.3452(945本中564位) となっていて、非常に納得感のある点数でした。