今回レビューするのはセガサターンを代表するRPG「グランディア」の遊べるファンディスクとして発売された「グランディア デジタルミュージアム」です。
ゲームの概要
ファンディスクというと通常は設定資料などを閲覧するだけの退屈なものですが、「グランディア デジタルミュージアム」ではダンジョンを探索して少しずつ資料(ゲーム内では「展示アイテム」と呼ばれています)を集めていくという仕掛けになっていて、ひとつのゲームとしても楽しめるものになっています。
ゲームを開始するとジャスティン、フィーナ、スーの3人が「アレント博物館」へと飛ばされて来たところから話がはじまります。
この3人のパーティでグランディア本編と同じように、ダンジョンを探索し、アイテムを入手し、敵を倒してゲームを進めていくことになります。
パーティの3人はもちろん、ラップ、ギド、ガドイン、ミルダなどの主要キャラクター、バール、ミューレン、ミオ、サキ、ナナなどの敵キャラ、本編では限られたパートでしか出番のなかったパコンなども登場します。
このグランディア デジタルミュージアムはグランディアをプレイ済みのユーザーに向けてバトルとダンジョンに特化したゲームとして構成されているので、通常のRPGではレベル1からスタートですがすぐに楽しい部分だけを体験できるようにほどほどにレベルが上がった状態からスタートします。
6種類の展示アイテム
資料となる展示アイテムの種類は全部で6種類。
モンスターのグラフィックやHPなどの内部データが見られる「モンスターの本」。
街のコンセプトアートや技の絵コンテなどが見られる「石板」。
音声でのミニドラマが聞ける「チケット」。
フェイスグラフィックが見られる「フィルム」。
ミニゲームがプレイできる「ゲームのコイン」。
本編で使用できる名場面直前などのセーブデータが使える「カートリッジ」。
4つのダンジョン
展示アイテムを収集するのがゲームの目的ですが、そのアイテムが隠されているダンジョンは「ノーザ遺跡」「軍基地」「アズ油田」「ギーオスの塔」の全部で4つです。
ノーザ遺跡は大地のフロア、月のフロア、星のフロア、太陽のフロアの仕掛けを作動させながら行き来して進んで行くダンジョン。
最初のダンジョンから仕掛けが満載。
軍基地はミオ、サキ、ナナそれぞれの率いる部隊と戦うダンジョン。
3人娘の後にはミューレンやバールとの戦いもあります。
本編ではチョイ役でしたがインパクトのあったキャラも出てきてニヤリとさせられます。
アズ油田は立体的に交差した通路が特徴的なダンジョン。
広くて迷子になること必至。
最後のギーオスの塔は仕掛けの異なるいくつものフロアを突破していく最難関です。
骨のあるゲームバランス
これら4つのダンジョンをより難しいものにしているのがボスキャラの存在です。
グランディア本編をクリア済みのユーザーを想定しているので、バランスが厳し目に設定されています。
本編ではゲームオーバーになった記憶はほとんどありませんでした。
「戦闘システムは面白いのにその真価が発揮されるようなバトルがなくて残念」と不満に思っていましたが、このグランディア デジタルミュージアムではまったくそんなことはありません。
クリアまで何度もゲームオーバーになりました。
グランディアの戦闘システムの特徴である「コンボ」と「クリティカル」を使い分け、IPゲージをしっかりと管理しなければ勝利できません。
さらに、展示アイテムとして用意されている資料の中にある本編のセーブデータの中には低レベルで本編のボーナスダンジョンに挑めるデータも用意されています。
本作でシビれる戦いをした後、望めばさらに厳しい環境でのやり込みが用意されている点は素晴らしいです。
8種類のミニゲーム
もっと厳しいのはミニゲーム。
展示アイテムの「ゲームのコイン」を入手することでミニゲームが開放されるのですが、これがどれも難しい。
1位になるとアイテムがもらえるので1位のハードルが高めに設定されているのは理解できるのですが、ちょっとやったぐらいではランキングに入ることもままならず。
アーケード移植されたシューティングゲームや格闘ゲームぐらいの気分でプレイするとランクインに到底及ばないスコアで絶望します。
用意されているミニゲームは全8種類。
早食い王 グランディア杯
ボタン連打で早食いをしつつ、相手やチャン軍曹の妨害にはタイミングよくボタンを押して対応しなければならない忙しいゲーム。
勝ち進んでいくと相手が大食いになっていくのでボタン連打で競り勝つこと自体が厳しくなってくる。
お盆でゴン
コントローラーのボタン配置と同じ位置にジャスティンが頭を出すので、対応したボタンを押しておぼんチョップを喰らわせる、いわゆる「もぐらたたき」です。
甲板掃除 REMIX
本編でもあった甲板掃除のミニゲーム。
ゲージを高い状態で保つことでタイムを短くする。
スーあやうし! ガンツの花嫁大作戦
スーに寄ってくるガンツを、プーイで撃退しつつ弓矢で風船を落とすというゲーム。
風船とガンツのどちらを狙うかよく見定めて。
バールの逆襲
画面に「バッ」という文字がずらずらと出てきて「バッ」ではなく「バールダ」と出た瞬間にボタンを押すというミニゲーム。
何の予兆もないので本当に運ゲー。見て(聞いて)から押して間に合う人いるんでしょうか……。
フィーナのぱんつ
三列でやってくる敵を撃退してパンツを守るゲーム。
インベーダーゲームに近いでしょうか。
リーンのカエルはいやっ!
ミニゲームの中では唯一(?)頭脳的なゲーム。
カエルを配置してリーンを水溜りに追い込むゲームです。
男の熱血100億番勝負
ラップとガドインの野球対決。
魔球を含めて緩急つけたピッチングをしてくるラップからホームランを打つ、緊張感のあるタイミングゲーム。
どれも難しすぎて正直やり込もうという気はあまり起きませんでした。
一番楽しかったのはシンプルなもぐらたたきの「お盆でゴン」ですねw
名場面のセーブデータがアツい!
世界の果を越えるシーンや失意のジャスティンが自分らしさを取り戻すシーンなど数々の名場面の直前のセーブデータが収められています。
好きなデータを選んで、本編同様のセーブデータ管理画面でそのデータをセーブすると、本編からロードしてすぐに名場面が見られます。
すっかり忘れてしまっていた場面もありましたが、どれも再び見れば感動が蘇るシーンばかりです。
クリアまでの所要時間
グランディア デジタルミュージアムをクリアするのにかかった時間は20時間程度でした。
ダンジョンは4つと少ないですが、ちょっとしたRPG1本分ぐらいのボリュームがあります。
ファンディスクということで値段も定価で3500円ですので、十分ですね。
Nintendo Switch 版の「グランディア HD コレクション」が発売されたので、新規のグランディアファンもぐっと増えたはず。
その方たちにこそプレイしてもらいたいゲームなのですが、移植されていないのが残念でなりません。